2022年8月18日、カゴメの代表取締役である山口聡さんが『カンブリア宮殿』に出演。
「カゴメといえば?」と聞かれたら、きっとほとんどの人が「トマトケチャップ」や「トマトジュース」と答えるでしょう。
しかし、そんな”トマトの会社”として長年成功しているカゴメが今、”野菜の会社”になろうとしているというのです。
今回は”野菜の会社”に舵を切ったカゴメ株式会社の社長・山口聡さんにスポットを当て、一体どんな人物なのか、また彼が目指すものとはなんなのかを深堀りしていきます。
山口聡のプロフィール
出典元:カゴメ株式会社ホームページより
出身地・・・静岡県浜松市
趣味・・・ランニング
出身高校・・・静岡県立浜松北高等学校
出身大学・・・東北大学農学部食糧化学科
職歴
・2003年4月、業務用ビジネスユニット部長に就任。
・2010年4月、執行役員業務用事業本部長に就任。
・2015年10月、執行役員イノベーション本部長に就任。
・2018年10月、執行役員野菜事業本部長兼ベジタブル・ソリューソン部長に就任。
・2019年3月、取締役常務執行役員に昇格。
・2020年1月より、代表取締役社長を務める。
社長・山口聡の思い
出典元:Wikipediaより(旧カゴメ本社ビル)
1983年当時、生まれ育った静岡県もカゴメのある愛知県の隣県だったため、シェアが高かったと言います。
そして、山口聡さんは身近な存在で地元密着であることに愛着を感じ、地元に根付いた商品に携わりたいという想いで入社を決めたという。
そんな山口聡さんは2018年からカゴメと「放課後NPOアフタースクール」が共同で小学生に向けた“野菜嫌い克服を目指す”連携子育てプロジェクト「おいしい!野菜チャレンジ」に取り組んでいます。
カゴメの社員が「野菜先生」として登壇し、子どもたちに野菜の魅力やバランスのよい食事の大切さなどをプロジェクトを通して参加した子どもたちに伝えています。
また、社長となってからも山口聡さん自らが「野菜先生」となり、野菜に関するクイズや実験などを行い、参加した子どもたちに野菜の魅力や野菜摂取の大切さを伝えたこともありました。
授業終了後に取材に対応した山口社長は「オンラインでの開催や初めての『野菜先生』となり、少し不安もあった。だが授業が始まると、児童らの素直な反応や一生懸命に参加してくれる姿に楽しい時間を過ごすことができた。子どものころから、野菜に親しんでもらえたら、野菜を好きになってくれると思う。この授業が夏休みの思い出として、長く心に残ってくれればうれしい」と語った。
引用元:日本食糧新聞より
しかしそれ以上に山口聡さんが社員として培った経験や思いを活かし、子どもたちの未来のために取り組む姿は、同じ大人として見習うべきところなのかもしれません。
変革は社員と共にある
出典元:カゴメ株式会社公式ホームページより
カゴメの企業理念「感謝、自然、開かれた企業」。
この中の一つ、「開かれた企業」には「私たちは、おたがいの個性・能力を認め合い、公正・透明な企業活動につとめ、開かれた企業を目指します」という解釈文があります。
また「公正・透明」には、人事評価の際に目標管理の制度を採り入れ、社員は自らの目標を決めて定期的に進捗度を計ったり、翌年の目標について上司と話し合うと言います。そしてその内容をまとめたシートは、社内で公開されます。
そうするのが当たり前だと願う反面、実際には出来ていない、評価内容が不透明であるという不満をお持ちの方も多い中、こうしたクリアな会社づくりを行なっているカゴメは時代の先端を担っていく企業なのかもしれませんね。
また、社内で受け継がれている「自主・自立」。
自分勝手にやるのではなく、社員は一定のルールの下でキャリアプランや自分の能力発揮に取り組みます。
働きやすく、働きがいのある職場の実現が会社の経営目標であるカゴメ。
そのために必要な環境や制度・仕組みを整え、その中で社員は「自らの成長のために努力する」。
「社員一人ひとりが成長し、会社も成長する」というサイクルを目指しているのだそうです。
現状維持であろうが、変革であろうが、会社を動かすには人(社員)がいないことには始まりません。もちろん経営するのも人ですし、その経営する会社(企業)も人の役に立つからこそ成り立っています。
企業は人なりとはよく言ったもので、社員満足度の高い、人重視の企業の業績は好調であり、社員満足度の低い、人軽視の企業の業績は不調であることが多いのも納得です。
変革も社員と共にあるということでしょう。
社長就任後の変化
出典元:カゴメ株式会社公式ホームページより
2020年1月、山口聡さんがカゴメの代表取締役社長に就任した頃、世界に混乱と大きな変化をもたらしたコロナウイルスが日本に上陸しました。
もちろんカゴメにもその変化の波が押し寄せます。
ホテルやレストラン向けの業務用商品ではかなり苦戦したものの、家庭内で使用するトマトケチャップやソース類などの調味料の売り上げが増加しました。この背景には、コロナウイルス感染予防のために家庭内で食事をする機会が増え、外食の機会が大きく減ったことがあります。
そして時を同じくしてカゴメは、2020年1月に『野菜をとろうキャンペーン』を開始しました。
消費者の健康に対する意識が加速し、発酵食品や乳製品・緑黄色野菜を食べようと心がける人が増えると、緑黄色野菜も着目され、カゴメの野菜飲料が非常に好調に推移していきました。
この大きな変化の荒波に数々の企業が飲まれてしまう中で、うまく波に乗りこなすカゴメの社長・山口聡さんの手腕と社員の高い対応力がうかがえますね。
カゴメ株式会社のこれから
出典元:カゴメ株式会社公式ホームページより
「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」ことを目指しています。「トマトの会社から、野菜の会社に。」を長期ビジョンとして掲げ、多彩な野菜を、サラダやジュース、調味料、あるいはサプリメントとして美味しくお届けすることで、健康寿命の延伸、農業振興、地方創生といった社会課題の解決につなげて参ります。
引用元:カゴメ株式会社公式ホームページ・社長メッセージより
トマトの会社から野菜の会社に。
寺田前社長が2016年に中期計画として掲げて、10年後の2025年の実現を目指し、山口聡さんの社長就任でさらに加速をはかる長期ビジョン。
2020年1月より始まった「野菜をとろうキャンペーン」と、消費者の健康に対する意識が高まり、緑黄色野菜も着目されたことも重なったことにより、実現のための後押しとなっています。
また、野菜飲料の主力である『野菜生活100』など、すでに野菜の会社になるための要素は取り扱っているため、これからは認知拡大にも努めていくという。
まとめ
カゴメが目指す、ありたい姿。「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業になる」に向けて、社長の山口聡さんを中心に社員一丸となって着々と前に進んでいることがわかる深掘り調査でした。
そして何より、社員の取り組みはもちろんのこと、山口聡さんの高いリーダーシップ力を感じることができました。また、子どもたちへの思いや地域社会への貢献の観点からしても、一人の人間として、勉強になることが多大であったことは間違いありません。
今後もカゴメと山口聡さんの動向に目が離せませんね。
最後までご覧いただき、ありがとうございました。